医療分業について

医療分業について

医療分業という言葉をご存知でしょうか。医療分業とは、医師が診断・処方を実施し、調剤薬局の薬剤師が処方箋に基づき、調剤するという医療システムになります。

 

日本では、1970年代から厚生労働省が国策として医療分業の推進を行なってきました。それに伴い、調剤を専門に行う調剤薬局が全国各地に登場したのです。その数はなんと、五万三千店舗にも上り、コンビニエンスストアの四万四千店舗を上回るほどになっています。

 

また一年間で、医療機関が発行している処方箋は七億枚を越え、調剤金額も6兆円に達しています。外来患者の6割以上、国民一人あたりに換算すると年間六枚弱の処方箋を受け取っている計算になります。

 

このため調剤薬局で働くスタッフ、すなわち薬剤師や調剤薬局事務のスタッフ数も増え続けているのが現状です。薬剤師数は、全国で二十六万七千人ですが、約半数の13万人が薬局で従事しており、薬科大学を卒業しあ薬剤師の就職先としても調剤薬局が一般的になっています。まさしく医療業界の成長産業として育ってきたのが調剤薬局であると、言えるでしょう。

 

 

医療分業では、医療機関から処方箋を受取り、調剤薬局で医薬品を貰うと負担金額が増えます。言い方を変えれば、薬局の薬剤師や調剤薬局事務が間に介在することによって、手間賃が増え、医療機関から直接医薬品を貰うよりも、薬代が増えることになります。

 

一般的な患者からすれば、なぜ二度手間になる上に、自己負担額が増えるのか不思議に思って当然だと思います。その理由については、別ページにて詳しく説明しますが、要するに服用する医薬品が適切であるかどうかを医療機関と調剤薬局で二十でチェックをし、医師が医薬品業務を手放すことによって医薬品で儲けを出すような不正を防ぐためになります。

 

医療分業が未整備だった頃は、医療機関から投薬して貰うのに、余分な医薬品まで出されてしまうケースも数多くあり、一部では「薬漬け医療」などと指摘されることもありました。

 

医療機関は、医薬品を安く購入し、請求は薬価で実施するため、その差額が薬価差として、医療機関の大きな収入源の1つとなっていたのです。ですから医薬品を患者に投薬すればする程に、医療機関の収入は増えるため、一部の医師たちは医薬品を多く使い儲けを出していた訳です。

 

医療分業は、「医」と「薬」を分業させることによってチェック機能を働かせると同時に、過剰な医薬品の使用を防止する仕組みにも一役買っているのです。

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